土地家屋調査士とは?

土地家屋調査士とは?

我が国における登記制度

我が国において、近代的な登記制度が設けられたのは、明治5年に「地所永代売買解禁」の布告によって、土地の所有者が認められたときに始まり、明治19年に制定された旧登記法は、我が国近代法律の第1号でした。
昭和35年の改正では不動産の表示に関する登記制度が新設(土地台帳と登記簿が一元化)され、平成16年にはオンライン申請時代の国民のニーズに応じられる制度へと大改正がなされました。

不動産登記制度の意義

不動産登記制度の意義とは、国民の所有する土地や建物を登記簿に載せ、その姿・かたち・権利関係の移り変わりを正確に公示することにより、国民の生活や地域社会の経済活動を円滑に進める事です。
また、国や地方公共団体にとっても課税する対象を正しく把握することや、国づくりの基礎情報としてますますその重要性を増しています。

不動産登記法第1条[目的]

不動産登記法の第1条に同法の目的があり、その内容は次のとおりとなっております。
「この法律は、不動産の表示及び不動産に関する権利を公示するための登記に関する制度について定めることにより、国民の権利の保全を図り、もって取引の安全と円滑に資することを目的とする。」
また、不動産登記法の根拠法は、民法第177条になります。
※民法第177条
不動産に関する物件の得喪及び変更は、不動産登記法(平成16年法律第123号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。

不動産登記の種類

不動産登記の種類は、次の2つに大別されます。
※表示に関する登記
権利の対象である不動産(土地・建物)の物理的状況(所在、地番、地目、地積、床面積等)を公示する登記であり、権利に関する登記の前提となるものです。
※権利に関する登記
登記された不動産に係る権利の主体、権利の種類、その内容、権利の移転、変更に関する登記です。

土地家屋調査士制度

不動産登記法は、土地や建物の表示に変更があったときは、所有者は一か月以内に登記の申請をしなければならないと定め、不動産の表示登記の懈怠には過料がかされることになっています。
しかし現実には、全ての国民にこの申請義務の実行を期することは難しく、また、登記官は、職権により登記を実行することができることになっていますが、膨大な事件(注※:平成15年表示に関する登記事件数・土地519万件、建物218万件)を完全に処理することは到底できない状況にあります。
昭和25年、議員立法により土地家屋調査士法が制定され、所有者に代わって不動産の表示に関する登記につき必要な土地又は建物の調査、測量、申請手続又は審査請求の手続を業とする資格者代理人制度を法制化し、専門的な調査、測量の技術などを習得した一定の有資格者にこれを業として行わせることとしたものです。
※法務省統計から

※土地家屋調査士法第1条(目的)
この法律は、土地家屋調査士の制度を定め、その業務の適正を図ることにより、不動産の表示に関する登記手続の円滑な実施に資し、もつて不動産に係る国民の権利の明確化に寄与することを目的とする。

登記に対応した地図と土地家屋調査士

法務局には登記簿と共に明治初期の地租改正にその源を持つ公図(旧土地台帳附属地図)が備えつけられています。この公図は地租徴収の目的から作成されたものであり、不動産取引の安全を図るという不動産登記制度の観点から作成されたものではないため、境界紛争が発生する原因の一つとして挙げられることがあります。土地家屋調査士制度誕生から50数年を土地家屋調査士は土地の境界と地図に携わっています。土地家屋調査士は地域に根ざした職能人として日常的に境界に携わりながら登記行政を支える一方、境界に関する訴訟事件での鑑定人、裁判所の専門家調停委員、民事訴訟法による専門委員として司法的役割をも似ない、土地境界に関する専門家として今後ますますその任は重くなるものと考えています。

※土地家屋調査士法第25条第2項
土地家屋調査士は、その業務を行う地域における土地の境界を明らかにするための方法に関する慣習その他の調査士の業務についての知識を深めるよう努めなければならない。

※不動産登記法第14条(地図等)
1.登記所には、地図及び建物所在図を備え付けるものとする。
2.前項の地図は、1筆又は2筆以上の土地ごとに作成し、各土地の区画を明確にし、地番を表示するものとする。

これからあるべき地図を知悉しているのは、地域に根ざし、日々地図と境界を日常的な業務・研修を通じて熟知している土地家屋調査士です。※不動産の表示に関する登記には所有者等に申請義務が課されています。
1か月以内に所有者等に登記の申請義務が課されている表示に関する登記
不動産登記法
第36条(土地の表題登記の申請)
第37条(地目又は地籍の変更の登記の申請)
第42条(土地の滅失の登記の申請)
第47条(建物の表題登記の申請)
第49条(合体による登記等の申請)
第51条(建物の表題部の変更の登記)
第57条(建物の滅失の登記の申請)
第58条(共用部分である旨の登記等)
表示登記制度は、不動産の物理的状況を迅速・的確に公示して初めて国民の利便等に供することができるものですから、物理的変更を最も早く、正確に知り得るものとして所有者等に義務付けられたものです。